取材日:2019年3月18日
今や導入社数21万4,000社超え※1のビジネスコミュニケーションツール「Chatwork」の開発・提供を手がけるChatwork株式会社。2009年と2010年に「社員満足度日本一※2」、2019年にホワイト企業アワード※3を受賞し、ホワイト企業認定を受けた同社は飲み会もやはりホワイトで柔軟なのか−。その答えを求め、東京タワーの目の前にあるChatwork東京オフィスを訪れた。今回インタビューに応えてくれたのは代表取締役CEOの山本正喜氏。彼の考える飲み会のあり方とは。
Chatworkさんは、社内のメンバーで飲む機会が多いそうですが、代表自身は会社の飲み会にどんな印象をお持ちですか?
山本代表:世間的に会社の飲み会がネガティブに捉えられていることは認識していますが、当社にはそういった雰囲気はないように感じています。もともと学生起業だったので、サークルのようなノリでわいわい飲むことが多くて、会社が成長してもそのカルチャーがずっと続いているような印象ですね。
イヤイヤ参加しないといけない、ということはないと。
山本代表:まず参加してもしなくてもどちらでもいいという空気があります。無理に飲まされるとか、上司にお酌しないといけないとかそういったこともまったくありません。組織がまだ小さい頃は毎月、全社飲み会を開催していたのですが、ほぼほぼ全員参加で2次会までかなりの人数が残っていました。今は少し会社の規模が大きくなったので、全社飲み会に加えて部署の飲み会も実施しています。
Chatwork飲み会は、どういうものですか?
山本代表:全社飲み会のことです。創業当時から会社の経費で開いていた飲み会が今も続いている、という感じですね。
何かコミュニケーションに課題があったり、理由があって始まったわけではないんですね。
山本代表:そうですね。始まった経緯はくわしく覚えていませんが、カジュアルなコミュニケーションを大切にしている会社なので、みんなで飲もうよ!みたいなところからスタートしたと思います。
毎回、何名くらい参加されるんですか?
山本代表:東京は今社員が70名くらいいるんですけど、平均で50名くらいは参加してくれますね。社員だけではなく、家族やパートナーの参加もOKなので結構な人数になるんですよ。
パートナーというと彼氏・彼女ということですか?
山本代表:そうですね。パートナーにも応援してもらえる会社になりたいと思っているので、お付き合いしている方を連れてきて、みんなで一緒に飲んでいます。
飲み会って参加人数が多いとしっかり話ができなくないですか?
山本代表:Chatwork飲み会は、特に“コミュニケーションを活性化させよう”みたいな目的意識があって開催しているわけではないので、みんな自由にやっていますね。お酒の席でわざわざそういう目的をつくってしまうとシラけちゃう気がするんですよ。席を決めたりするとなんか合コンみたいだし、そもそも強制的に交流させるのってなんか変ですよね。
普段からコミュニケーションが取れているので、飲み会でわざわざしなくていいという感じなんですかね。
山本代表:そうですね。当社には全社員が参加している雑談チャットというグループチャットがあるんですけど、そこで普段からいろんな話をしていて、部署やオフィスの壁を超えて交流が活発なんです。
うちは雑談というのをとても大切にする文化があって、雑談チャットでは本当にくだらない話ばかりしていますが、それも意味があると思っています。業務上の会話ってクリエイティビティがないじゃないですか。でも雑談だとなんか面白いことしたいよねっていう思考に遊びが生まれるんです。
あと、普段から雑談をするようなカルチャーがあれば、なにか起こったときにみんながすぐに乗っかってきて、協力体制ができやすいんです。
チャットだからこそ、物理的な距離に関わらず、社内の誰とでも交流が図れるんですね。
山本代表:そうなんです。あと、朝礼の時にローテーションで毎回誰かが好きなことを話す場があって、それは仕事の話ではなく、週末に温泉に行ったとか、趣味など主にプライベートなことなんですが、いわば自己紹介のアップデート。ここでみんなの近況を知れば、飲み会でも話しかけやすいですよね。全く違う部署の人だと相手のことなにもわからないし、それだと何を話していいかわかりませんから。
日頃から何かと交流があって、コミュニケーションの土壌ができているんですね。
山本代表:そうですね。自然にみんなが関わり合えるような仕組みはつくるように意識しています。雑談チャットのほかには、「あれ誰」という入社したばかりの人が自己紹介を書き込むカルチャーもあります。そこにみんなが書き込むことでお互いを知って話すきっかけになっています。
飲み会でコミュニケーションを図るのではなく、すでに関係性ができあがっているメンバーと飲みに行くのでそれは楽しいはずです。
山本代表:飲み会に目的を掲げたり、成果を求めたりはしていませんね。あと、仕事がしんどすぎてストレスを発散するとか、愚痴をいってすっきりするといった飲み会はいやだなあと思いますね。うちは単純に楽しいから飲んでるだけなんです。本当にしょうもない話ばっかりしていますよ。
お酒を飲むとつい愚痴って出てしまいがちですが、まったくないんですか?
山本代表:ゼロではないでしょうけど、愚痴って不満があるのに言えなかったり、理由がわからないまま押し付けられたりしたときに出ると思うんですよ。私は不満があるのなら言って欲しいし、会社が良くなることならきちんと対応したいので、そういうことが言える場を作るようにしています。ちゃんと話を聞いて、だったらどうすればいいと思う?って、一緒に考えたいですよね。
確かに、不満や“もっとこうすればいいのに”ということを自由に発信できる場があれば、愚痴ってそんなにたまらないかもしれません。そうして自然とみんなが参加したくなるただただ楽しい飲み会になっていくわけですね。
山本代表:そうかもしれませんね。もともとChatwork飲み会は毎月開催していたのですが、人数が増えてあまりにもコストがかさむので、3ヶ月に1回にしたら、社員が自発的に飲み会をやりはじめたので、みんなやっぱり楽しいんだと思います。あまりにも一生懸命やっているので、この飲み会も会社が一部負担するようになりました。
社員が勝手にやっているただの飲み会ですよね?
山本代表:そうですね。でも会社にとってもプラスになることですから。
うらやましい(笑)。
山本代表:定期的な飲み会以外にも「今夜飲みませんか」というチャットがあって、そこに“今●●で飲んでます”と書き込むと“じゃあ今から行きます”という感じで、突発的に飲み会が発生したり、金曜日になると社内のバーカウンターで誰かしら飲んでいますね。
Chatworkさんだけに、かなり社内交流にチャットを活用されていますよね。
山本代表:うちはオフィスが東京、大阪のほかに海外にもあって、リモートで働く社員も多数いますが、チャットがあればなんの問題もありません。会議の議事録だけあとで見ても、どういう経緯で決定したかいまいちわかりませんが、チャットに入っていればその場にいなくても9割のことがキャッチアップできるんですよね。ただ、うちでは対面のコミュニケーションもかなり重視しています。
顔を見て話すことでしか伝わらないことってありますよね。
山本代表:はい。一度対面で話しておけば、チャットでの “了解です”というただ一言でもニュアンスが全然違ってきます。ただ全部アナログでやっちゃうと効率が悪いし、後にも残らないのでやはり使い分けが大切ですね。
なるほど。お話を伺って、Chatworkさんの社員満足度が高い理由がわかった気がします。どうもありがとうございました。
回答者:Chatwork株式会社 広報ディレクター 山田葉月
山田さんは中途でご入社されたんですか?
山田さん:はい。当社で3社目です。
御社の飲み会は本当に楽しそうですが、それまで“会社の飲み会”にどんな印象を持たれていましたか?
山田さん:実は私の場合、割と恵まれていてポジティブな印象しかないんです。1社目は外資系化粧品会社だったのですが、ボジョレーの解禁日にみんなで集まって楽しく飲んだり、前職でも自由に飲み食いするという感じで、あまり嫌な経験はしていなくて。
それはラッキーですね。ではご転職されてChatwork飲み会にはどんな印象を持たれましたか?
山田さん:そうですね。参加を強制されることはないですし、家族とか彼氏・彼女を連れてきてみんなで普通に飲んだり、本当に自由だなと思いました。
家族やパートナーぐるみで交流があれば、社員同士の距離もぐっと近づきますよね。
山田さん:そうなんです。本当にみんな仲がいいんですよ。それはやっぱり交流の機会が多いからですよね。飲み会はもちろん、雑談チャットで日頃から色々な話をしていますし、チャット以外に部活動でも部署をまたいで交流しています。
広報としてはいろんな部署の人と関われるのは仕事にも役立ちますよね。
山田さん:はい。仕事上だけだとどうしてもその人の個性が見えてきづらいのですが、いろいろと交流するうちに、人となりがわかってきて、この人にあのインタビュー受けてもらおうとかそういうことはよくあります。
本日お伺いして、とても働きやすい会社だという印象を受けましたが、もっとこうなったらいいなと思うことはありますか?
山田さん:どうだろう…。結構満足しちゃってますね(笑)。3年前に転職してきたのですが、最初はこんなに自由なんだって本当に驚きました。チャットを活用することでこんなにも業務が効率化されて、柔軟な働き方もできるんだということを、身を以て体感しました。制度に不満はありませんが、今後は社員の家族が会社にきて働いている姿を見せられるようなイベントができたらいいなと思っています。
ありがとうございました。
取材ご協力企業:Chatwork株式会社
インタビュアー:
和谷 尚美(N.plus)
米国の大学を卒業後、現地の出版社に編集者として入社。帰国後、広告代理店や制作会社を経て、2012年よりフリーランスライターとして活動。
http://nplus-w.com/