取材日:2018年12月11日
企業向け基幹システム、通信キャリア向けネットワークシステムなど、各種システム設計・開発・保守を手がける株式会社NetValue(ネットバリュー)。同社では10年ほど前から、社内コミュニケーションの活性化を目的に、社員旅行や飲み会など社内イベントの参加でスタンプがたまる「スタンプラリー制度」を導入している。同社の中森将雄社長と第1本部の和泉さんに、このユニークな制度の導入経緯とその効果について語っていただいた。
スタンプラリー制度はもともとどなたの発案なのですか?
中森社長:目的は違うのですが、他社さんでスタンプラリー制度を取り入れているところがあって、うちもやってみよう思ったのが最初です。ちょうど10年くらい前、社員数が徐々に増えてきて、社内でも知らない人が多くなってきたことと、当社ではエンジニアがお客様先に常駐することが多いので、交流の機会をふやすきっかけになるかもしれないと思って、導入を決めました。
導入当初と現在では運用方法に変化はありますか?
中森社長:導入当初から今と同じです。イベントに一回参加すれば1ポイント付与されて、1ポイントに付き1,000円が半年に一度の賞与に加算されて支給されます。
1ポイント1,000円というのは、大きいですね。
中森社長:そうですね。全部のイベントに参加すれば半年で30ポイントたまりますし、オフィシャルなイベント以外でも、管理職が一人でも参加していれば飲みに行くだけでポイントが溜まります。だから、週に何度も飲みに行けばそこそこの金額になりますね。
導入に際して反対意見はありましたか?
中森社長:もしかすると、今ならそういう意見も出たかもしれませんが、当時は今の半分くらいの人数で、柔軟性もあったので特に反対する者もおらずすぐに決まりました。
ただ、1ポイント1,000円という金額は最初から決めていたのですが、実際にやってみないとどれくらいの額になるのかわからなくて、それはちょっと心配でしたね。
導入から10年以上経ちますが、どんな効果を感じていますか?
中森社長:効果については数値化できないのではっきりとはわかりませんが、やはりチームワークがよくなっていることは実感します。
とくに当社のようにプロジェクト単位でお客様先に常駐して仕事をするスタイルですと、同じ会社から出向していても、お互いをほとんど知らないということも少なくありません。
でも、スタンプラリー制度を通してイベントなどの参加率が上がれば、社員同士の交流も活発になります。全く関心が持てない人間関係の中で仕事をするのと、チームワークで取り組むのとでは当然成果が全然違ってきますよね。
普段社内にいなくても、社員同士のつながりがあることで帰属意識も高まりますよね。
中森社長:そうですね。プロジェクトが難航した時に社内の者が迅速にサポートするなど協力体制も生まれやすくなっているので、それは業績に直結していると思います。
「参加すれば現金に還元できるスタンプがもらえる」という制度の性質上、逆に参加への強制力を緩和してしまいませんか?
中森社長:その可能性はあるかもしれませんが、もともとみんなに参加して欲しくて始めたことであって、そういった意図はまったくないです。
あとスタンプ表が社内に張り出してあるので、誰がよく参加していて誰がしていないかはすぐにわかります。でもそれは、参加していないことを糾弾するためではなく、他のメンバーと顔を合わせる機会が少ない人を把握できていれば、なにかしらフォローすることができるという意味があります。
なるほど。そういう人は上司から声がけをしたりすることができますよね。
中森社長:そうなんです。しかもスタンプラリーのおかげで上司が部下を誘いやすいという側面もあるんですよ。スタンプやるから飲みにいこうぜって。そうすれば、もし断られても、スタンプに興味がないだけだって上司も傷つかずにすみますし(笑)。
それは意外な効果ですね(笑)。では最後に今後、新たな制度の導入予定はあれば教えてください。
中森社長:新しい制度というよりはスタンプラリーの運用を見直したいと考えています。先日実施したアンケートで、いろいろな意見を聞くことができたので、今後はより社員の希望を反映した制度にできればと思っています。
ありがとうございました。
回答者:株式会社NetValue 第1本部 和泉 大
Q:スタンプラリー制度について初めて聞いた時、どのように思われましたか?
会社説明会やメディアで紹介されていたのを見て、変わったことをしている会社で面白いなと思いました。
Q:制度は活用されているほうですか?
実は私は体質的にお酒が飲めないので、飲み会自体はあまり得意ではないのですが、行事も飲み会も結構参加している方だと思います。でもそれは、スタンプラリー制度があるからというよりは、イベントに参加することで普段会えないメンバーに会えたり、他のプロジェクトの話を聞けたりするという理由が大きいですね。
Q:イベントや飲み会で印象的だったことを教えてください。
当社の飲み会は、席順が決まっていないんです。たとえば役員であっても下座の方に座っていたりするので、そういう経営に近い方から実際に会社や組織運営の話を聞くことができるのは本当に貴重な機会だと思います。あと、顔くらいしか知らなかった人が、飲み会で話すとめちゃくちゃおもしろかったりという発見もありますね。
Q:スタンプラリーは和泉さんにとって、よい制度ですか?
そうですね。普段そこまで意識して参加しているわけではないですけど、お酒が飲めないこともあり、廃止されたら若干参加率は減るかもしれません(笑)。みんなと交流できてボーナスも増える、社員にとってはすごくいい制度ではないかと思います。
取材ご協力企業:株式会社NetValue(ネットバリュー)
インタビュアー:
和谷 尚美(N.plus)
米国の大学を卒業後、現地の出版社に編集者として入社。帰国後、広告代理店や制作会社を経て、2012年よりフリーランスライターとして活動。
http://nplus-w.com/