遊ぶように働いて
世界を祭り化する
五反田バレーの次世代ベンチャー

株式会社マツリカ

「世界を祭り化する」というミッションの下、クラウド営業支援ツール「Senses」を開発・運営する株式会社マツリカ。フルフレックスやリモートワークなど、スタートアップ企業ならではの自由な働き方が特徴の同社では、就業中のアルコールもOK。共同代表のひとりである黒佐英司さんにその背景を伺った後は、マツリカの社風にならって、全員で飲みながらの社員インタビューとなった。

自由参加の祭り化DAYには、
毎回、半分強の社員が参加

黒佐さんは新卒で大手企業に入社されたそうですが、当時の飲み会はどのような感じでしたか?

黒佐さん:ハウスメーカーだったのですが、業種柄、お付き合いがたくさんあって、完全に業務の一環でしたね。社内の飲み会も同様で、好きとか嫌いというよりは、もう決まっているものなので割り切っていました。

マツリカさんではオフィシャルな飲み会はありますか?

黒佐さん:年末の締め会と、毎月最終金曜日の祭り化DAYというイベントがあります。

祭り化DAYというのは?

黒佐さん:会社が飲み物と食べ物を用意して、自由に楽しんでもらう日です。参加は任意ですが、毎回、半分強の社員が参加していますね。家族や友人の参加もOKですし、沖縄や大阪からリモートで働いている社員がウェブカメラを通して参加することもあります。

物理的な距離はもはや関係ないですね。

黒佐さん:そうなんです。リモートメンバー同士でウェブカメラを使った「リモート飲み会」もよく開催しています。

オフィスでのアルコールを解禁。
その真意とは

マツリカさんでは、就業中にお酒を飲んでもいいそうですが、そのルールはいつから始まったんですか?

黒佐さん:ルールというわけではなくて、飲みたいなら飲んでもいいというだけなんです。弊社では最低限の就業規則と労務上守らないといけないことはありますが、それ以外はすべて各自の裁量に任せています。フルフレックスですし、いつ休んでもいい。有給取得も許可を取る必要も報告義務もありません。業務に支障がないように共有するというイメージでしょうか。

なるほど。「就業時間内にお酒を飲んでもいい」というよりは、特に禁止にしていない、ということですね。

黒佐さん:そうです。当社には「Initiative」「Liberty」「Creativity」という3つのバリューがあるのですが、この中でも今回のお酒の話といちばん関連しているのは「Liberty」です。「Liberty」には自由という意味がありますが、この「Liberty」は「勝ち取る自由」という意味合いを含んでいます。どこで誰と何をどんな環境で働くかはすべて自由。でもその裏には責任が伴いますよね。

お酒を飲む・飲まないは自由だけど、誰かに迷惑をかけたり、パフォーマンスを落とすのであれば、それはダメだと。

黒佐さん:はい。それはプロフェッショナルではないですよね。でも逆に飲んで眠くなっちゃったら、仕事を終えて休めばいいんです。別にお酒以外でもたとえば睡眠不足でパフォーマンスが落ちることってあると思うんですけど、落としたらダメな時に落とさない、落ちちゃったら休めばいいという考え方です。

社員の方が自己責任と「Liberty」に込められた意味を理解していることが前提ですね。

黒佐さん:それはあると思います。でも、会社がお酒を用意するから、みんなどんどん飲もう!って、推奨しているわけではないんですよ。各自の責任で、飲みながらやりたいなら止める理由はないし、それが業務時間中でも別にいいというだけなんです。

社員のみなさんを信頼されているんですね。

黒佐さん:それもありますし、やっぱり私はみんなのことが好きなんですよ。社員だけじゃなくて人類全員好きというか(笑)。もしかしたら、ふとしたきっかけで社員のだれかがよくないことをしてしまうかもしれませんが、基本的にそんなに悪い人っていないと思ってるんです。

性善説ですね。

黒佐さん:そうそう。めちゃくちゃ性善説。「世界を祭り化する」というミッションに強い共感があれば、他は好きにやってもらって大丈夫。入社前の面接の段階でミッションに共感できるかといったことや、価値観についてはすり合わせるので、そもそもそこに合わない人は入社していないはずなので。

遊ぶように働ける環境を作りたい

では就業中の飲酒も含め、自由な社風の中でなにかトラブルが起こったことはない?

黒佐さん:ないですね。弊社は序列がほぼ存在しないオープンな組織で本当に自由ですが、とくに問題はありません。指示命令系統がしっかりしているトップダウンの方が経営者としてはやりやすいかもしれませんが、そうしてしまうと、私たちが大切にしているクリエイティビティを損なうことになるのでやりたくないんですよ。トップダウンに比べてコミュニケーションコストはすごくかかりますが、その方が本質的な価値観を共有できるので、後々のことを考えると楽だと思います。

会社を立ち上げたときから、そのような組織にすることを決めていたんですか?

黒佐さん:そうですね。組織が大きくなるにつれて限界はあるかもしれませんが、基本はフルオープンで行きたいと思っていました。これは会社というより私個人の考えですが、遊ぶように働ける環境を作りたいというか、「働いているんだけど遊んでる」という感覚で仕事に取り組んで欲しいんです。それがこういったフラットな組織体制や社風に現れていると思います。

「遊ぶように働ける環境」ですか。

黒佐さん:たとえば学生時代、文化祭とか体育祭の準備を、強制されてないのに一生懸命、昼夜問わず没頭した経験ってあると思うんです。それってなかなか仕事では起きないですよね。でも、本当に自分がやりたいこと、自分が決めた目的に向かって進むことができれば、仕事でも起こり得るんじゃないかって。「遊ぶように」というのはプライベートを表現していて、“プライベートで好きなことをしてる時はやってるじゃん”ってことなんです。当然、仕事だから対価が必要ですが、お金のためだけにやるのはつまらないし、人生のほとんどが働いている時間なんだから、遊ぶように没頭できれば本当に素晴らしいと思うんです。

それが“祭り化”するということなんですね。

黒佐さん:そうですね。私たちはテクノロジーを使って、世の中を祭り化するための支援をしていますが、まずは自分たちがそうでなければいけませんよね。

たしかに、発信している側がまったく祭り化していなかったら説得力がないですよね。今日はどうもありがとうございました。

社員インタビュー

回答者:株式会社マツリカ Managing Director 中谷真史

中谷さんはマツリカが4社目とのことで、これまでいろいろな会社の飲み会に参加してきたと思いますが、飲み会は好きですか?

中谷さん:新卒で入った製薬会社の飲み会はすごく楽しかったですね。外資ということもあって、自由な雰囲気でしたし、先輩や上司の武勇伝すらも成功体験として学ばせてもらいました。逆にそのあとに入社したコンサルティングファームは、ちょっとしんどかったですね。

それはどうしてですか?

中谷さん:独立を視野に入れていたので、あまりその場に興味が持てなかったからかもしれませんね。あと勤務時間も長くて、飲み会が始まるのも遅いんですよ。その割に得るものが少ないというイメージでした。

独立を視野に入れていたのに、マツリカにご入社されたのはどうしてですか?

中谷さん:元々は独立して自社でSensesを導入しようと問い合わせたんですけど、いつのまにか入社してたんですよ。使うつもりが使われてるっていう(笑)

ははは(笑)。決め手はなんだったんですか?

中谷さん:黒佐の器の大きさと、マツリカとSensesの未来が明るいと思ったことですね。ここで働くのもいいかなと思いました。

マツリカさんはスタートアップらしい自由な社風ですが、ご入社されてどう感じられましたか?

中谷さん:スタートアップ企業だからというよりは、マツリカ独自の「Liberty」が浸透していると思いました。自由といえども、少しピリッとした責任感が伴う、他では見ない環境でしたね。

就業中の飲酒OKというのはどうですか?

中谷さん:すごくいいですよね。コンサルティングファームにいた時も、遅くまで仕事をする時は、途中で抜けてラーメン屋に行ってハイボールを飲んでまた戻るみたいなことをよくやっていたのですが、社内でそれができるというのは、すごく効率的。そういうことを制限されるとパフォーマンスが落ちるし、ストレスフルなんですよね。

自己管理ができて、すべて自己責任で仕事をする人にとっては自由にやらせてもらえる方が実力を発揮しやすいですよね。

中谷さん:自分が一番効率の良いやり方で進められるのはすごく仕事がやりやすいし、めちゃくちゃ楽しいです。僕、昨日なんかは3〜4時間しか働いてないですからね。

え?昨日って平日ですよ。

中谷さん:みんな純粋に仕事が好きなのでメリハリをつけて働いているんです。昨日はそんな感じでしたが、18時間くらい仕事をしている日もありますし。

フリーランスっぽい働き方ですよね。本当に自由。中谷さんが社内で仕事中に飲むのはどういう時なんですか?

中谷さん:ディスカッションをするときとか、勉強会を主催するときとかですかね。発散するというアプローチを意図的につくりたいときは、アルコールは有用だと思います。逆に集中しなければいけないシーン、たとえば顧客対応や分析系の業務のときは飲まないです。まあ、当たり前ですよね。

祭り化デーや社内の飲み会はどんな感じですか?

中谷さん:飲み会では結構仕事の話が多いですね。そもそも仕事という捉え方をしていないですし、みんなやらされているんじゃなくて、楽しくて夢中になって「祭り化」しているので、必然的にそういう話になるんです。僕の一番の趣味は仕事ですから。純粋にやっていて楽しいし、職業を選んだというよりは生き方に近いかもしれません。

「祭り化」というワードを自然に使われていますが、入社されたときからビジョンやバリューに共感されていたんですか?

中谷さん:特別共感していた、というわけではないですね。別に押し付けられたりとかはしないんですけど、何ヶ月か経ったらどんどん染み込んできたというか…。やらされ仕事やストレスを感じながらやるのではなく、すべて自分事として解放している状態が一番「祭り化」に近づくんです。今まさにそういう状態ですね。やりたいからやっている、そんな感じです。

ありがとうございました。

取材ご協力企業:株式会社マツリカ

https://mazrica.com/

インタビュアー:
和谷 尚美(N.plus)

米国の大学を卒業後、現地の出版社に編集者として入社。帰国後、広告代理店や制作会社を経て、2012年よりフリーランスライターとして活動。
http://nplus-w.com/

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