どうせやるなら徹底的に。
遊びも仕事も本気モードで
取り組むのがイルグルム。

株式会社イルグルム

「Impact On The World」を企業理念に掲げ、マーケティングプラットフォーム「AD EBiS」やECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」といったサービスの開発など、マーケティングの自動化・効率化事業を展開している株式会社イルグルム。Great Place To Work ® Instituteによる「働きがいのある会社ランキング」ではノミネート8回、7年連続ベストカンパニーに選出されるという快挙を遂げた同社の組織づくりの秘訣とは?コーポレートコミュニケーション室の金ナリさんに話を伺った。

※2019年8月1日、 株式会社ロックオンは「株式会社イルグルム」に商号を変更されました。

高い企画力で社内の課題に切り込む
社員会費委員会

イルグルムでは飲み会をはじめとする社員イベントが頻繁に開催されていますが、これは会社の方針なのでしょうか。

金さん:公式なイベントとしては忘年会と締め会、社員総会後の懇親会、社員会費委員会が主催する各種イベントの4つで、あとは交流が好きな社員たちが開催している同好会や部活動後の飲みといった非公式なイベントが日々開催されています。会社の方針というより、元から交流が活発な企業文化とそれに共感する人たちが集まった結果、自然にイベントが発生しているという感じです。

御社はブログなどで積極的に発信されているので、ご入社される方も社風をある程度わかっているんでしょうね。ちなみに、社員会費委員会というのはどんなものなのでしょう。

金さん:社員会費委員会は、社員間のコミュニケーション円滑化を目的にした活動です。委員会のメンバー4人がその時のコミュニケーション課題を抽出し、毎月積み立てた会費(1,000円)を使って、課題解決につながるイベントを年2〜3回ほど企画し、開催するというものです。社員による、社員のための活動です。メンバーは毎年入れ替わるので、その年によって企画の内容が違うのも面白い点だと思います。

たとえば、これまでどんなイベントがありましたか?

金さん:シャッフル飲み会をはじめ、社員会費の使い方をプレゼンして優勝したら実現できる「マネーの虎」、社員全員の特長を絵札にしたカルタ制作などの企画がありました。
最近だとブックとランチを合わせた「ブランチ」という企画がすごくおもしろかったです。
これは、東京と大阪の二つの拠点が物理的に離れていることで、コミュニケーションが薄れているのではという課題意識から、両拠点のメンバーがテレビ会議越しに一緒にランチを食べるという企画でした。ただランチをするだけではおもしろくないということで、ランチの1時間で交わした会話から相手の人となりを汲み取って、後日、その人に喜んでもらえそうな本を選んで送るというものでした。

それはおもしろいですね。何を送られたんですか?

金さん:私が送った相手は女子力について話していたので、ターザンとスキンケアの本を送りました。

女子力に対してターザンですか?(笑)

金さん:ターザンに体幹トレーニングの特集があったので、そちらを送りました。20代の頃に、もっと体幹を鍛えて、肌を大切にしておけばよかったと思ったので(笑)。
人のために本を選ぶということも新鮮でしたし、普段接点の少ない社員と業務以外のお話もできたので、すごく楽しかったです。喜んでもらうためにはその人がどんな人なのかを引き出さないといけないので、いつも以上に相手に興味を持って会話ができました。

Impact On The Worldを体現すべく
イベントも社員旅行も型破り

逆に自分のことも知ってもらわないといけないですし、会話が弾みそうですよね。社員会費委員会では飲み会的な企画はないんですか?

金さん:ブランチはたまたまランチ縛りでしたが、基本的にはチームわけを行ったうえで自由に決めてもらうスタイルの方が多いです。
少人数のチームに分けて交流してもらう企画では、チーム分けをしたらあとはその企画をランチでやるのか、ディナーや飲み会でやるのかは基本的に自由に決めてもらいます。子育て中の人やお酒が飲めない人など、いろんな人がいますから、できるだけみんなの状況を加味して楽しく参加できるように配慮をしています。
今だと「カレンダープロジェクト」という企画が動いています。委員会のエンジニアが社員の日々の発言を人工知能で分析して、社員を春夏秋冬の4タイプに分類。それを更に東京と大阪で12チームずつに分けて、それぞれのチームで各月を表す写真を撮影してもらい、来年のカレンダーを作るという企画です。
この場合も、実施する形はそれぞれのチームにお任せしています。担当の月を表す写真を撮るためには、みんなでアイデアを出し合ったり、工夫をしなければなりません。その過程を楽しんでもらうことが目的なので、特に飲みに行かなければいけないというわけではなく、自由に決めてもらっています。

カレンダープロジェクト 
1月の写真

カレンダープロジェクト 
7月の写真

ただ飲んだり食事をするだけではなく、なにか一捻りするのがイルグルム流なんですね。

金さん:そうですね。当社の理念である “Impact On The World” に共感した人たちが集まっているので、一つイベントをやるにしても、何か面白いこと、インパクトのあるものをやりたいという思いがあります。たとえば、年1回の社員旅行でも旅行会社に旅程を組んでもらうのではなく、「旅行P(プロジェクト)」を結成して、チームのメンバーがみんなに楽しんでもらえるような型にはまらない企画を考えるんです。

ほかにもそういった委員会的なものはあるんですか?

金さん:そうですね。通年を通して活動するのは社員会費委員会、衛生委員会、理念プロジェクト、セキュリティ委員会で、単発では旅行プロジェクトと忘年会プロジェクトがあります。

そういった活動によって通常業務が圧迫されて、残業が増えたりしないんですか。

金さん:イベントの内容を決めるのは、委員会メンバー自身なので、どこまでパワーをかけるかは、自分たちでコントロールできます。でも、みんなに面白いって思ってもらいたいとか、前年の企画を超えるインパクトを与えたいと思ってついつい欲張ってしまう。その結果、最初の想定より大がかりなものになってしまったというというパターンはありますね。多少パワーがかかることもありますが、委員会メンバー自身が楽しんでやっていると思います。

社員会費委員会のメンバーはどのように選出されるんですか?

金さん:その年のメンバーが任期を終えるタイミングで次の年の担当者を指名しています。
人選のポイントは3つで、まずは「他のプロジェクトと被っていない」ということ、次に「いろんな部署から選出する」こと、そして「上司に業務の状況を確認する」ことです。そのあと、最終的に本人の意志を確認します。

条件はそろっているけど、本人がやりたくない場合もあるのでしょうか。

金さん:もちろん強制ではないので、断るのは自由です。私も実は仕事以外でみんなに楽しんでもらえるような企画を考える自信がなくて、社員会費委員会はあまりやりたくないなと思っていました。でも、指名されたらやっぱり受けちゃいますよね(笑)。歴代の委員会メンバーが考えた企画でたくさん楽しい経験ができたので、少しは恩返しができたらと思いました。
実際はじまってみると、それぞれバックグラウンドが違うメンバーが集まっているので、出てくるアイデアも方向性も多彩でおもしろいですね。いろんな部署の人とじっくり話せて得るものは多いなと感じました。

広報としてもいろんな部署にコネクションができるのはいいですよね。

金さん:そうなんです。ネタも集まるし、ネットワークも広がるしやってよかったなと思っています。

常にブレストをするわけですから、企画力や発想力が鍛えられそうですよね。ほかに御社らしい面白い企画はありますか?

金さん:昨年の忘年会企画もユニークだったと思います。
社員会は今、「テラマッチング」をテーマに活動をしています。テラは単位のテラ。メガでもなく、ギガでもない、テラ級にたくさんのマッチングを生み出すという意味です。社員数が増えてきて顔と名前が一致しなかったり、知っていたとしても全然会話したことがないといった状況をなんとかしたいというところから始まりました。
顔はなんとなく知っていても、情報がまったくない状態だとエレベーターで一緒になっても、会釈くらいしかできなくて、何もコミュニケーションが生まれないですよね。そこでまずは1対 n のマッチングが必要だと考えたんです。そのためには気軽に話しかけられるネタがいるよねということで、新しく入社した人の情報を「世界ふしぎ発見」風のクイズ形式の動画にして忘年会で流しました。忘年会のチーム割は、人工知能で社員を分析して、世界ふしぎ発見のパネラー陣と同じ傾向を持つ人を集めて、歓談中の話のネタを提供したりもしました。
もう少し少人数でゆっくり話す機会も必要だよねということで、カレンダープロジェクトに繋がっています。

ひとつのイベントに対してめちゃくちゃ要素が多い(笑)

金さん:そうなんです(笑)。ただやるだけではおもしろくないというのが私たちの共通認識なので。

“みんなで楽しもう”という文化が
働きがいのある組織づくりにつながっている。

ほとんどの方が楽しんでいらっしゃるとは思いますが、おそらく中にはあまりイベント事が好きではない方もいらっしゃいますよね。社員会費委員会ではそういう方たちも強制的に会費を支払うことになると思うのですが、そこに不満がでたりしないんでしょうか。

金さん:会費が3,000円だった頃に、ちょっと高いんじゃないかという声が出たことはありました。そこで見直しが行われて1,000円になったという経緯があります。それ以降、不満の声を聞いたことはないですね。
イベントがあまり好きではない人もマイペースに楽しんでもらえるような雰囲気があると感じています。

そういったイベントが組織に良い影響を与えていると思いますか?

金さん:そうですね。当社は「働きがいのある会社のランキング」に8回ノミネートされて、7年連続で選出されています。最初にノミネートされたのが8年前でちょうど社員会費委員会が始まって3年目くらいの時だったので、少なからず影響はあると思っています。
社員アンケートの結果でも、「連帯感」や「自社の誇り」という項目が高い評価となっています。

それはやはり日頃から社員が活発に交流しているからこそですよね。

金さん:そう思います。社内で実施しているエンゲージメント調査でも、うちは「仕事仲間との人間関係」や「組織風土」の項目がとても高くて、それはやはり日々の活動の結果だと思います。

なるほど。今日は組織づくりのヒントになることをたくさんお聞きすることができました。ありがとうございました。

社員インタビュー

回答者:株式会社イルグルム コーポレートコミュニケーション室 長野佳代子

長野さんは、社内で一番社歴が長いんですよね。ご入社された時から今のようにイベントが多い会社だったんですか?

長野さん:私が入社した時はまだ社員が5人くらいでした。当時からせっかく何かやるならしっかり企画しておもしろいことをしようという傾向はありましたが、今のように本格的にやるようになったのは、新卒を採用し始めた2008年頃からだったと思います。

日常業務があるなかで、いろいろとイベントがあると大変ではないですか?

長野さん:公式なイベントに関しては、私は企画をする側なので業務の一環ですが、非公式なものにも自らよく参加していますね。お互いを知るきっかけになったり、一体感が生まれたりといったこともそうですが、何よりすごく楽しいので。

どんなイベントに参加しているんですか?

長野さん:日本酒が好きな人たちばかりが集まる「NHS(日本酒の会)」とか、地域創生を目的に結成された「RR(Regional Revitalization)」などです。

どんな頻度でどのような活動内容なんですか?

長野さん:日本酒を飲む会は本当にそのままです(笑)。月1くらいのペースでおいしいお酒を飲みに行く会です。4月には会議室にブルーシートを敷いて、おつまみと一升瓶をたくさん買ってきてバーチャル花見もやりました。

桜はバーチャルなんですね(笑)。

長野さん:はい。外はちょっと寒かったので、映像で楽しみました(笑)。
RRでは、地域創生を目的としています。まずは地元である大阪を活性化させようということで、大阪の大動脈である環状線に乗ってサイコロで出た目の駅で降りて、一番近い飲み屋で一人一品と一杯ずつオーダーしてまた次に行くという飲み会を定期的に開催しています。地域創生につながっているかは疑問なのですが(笑)。

たしかに(笑)。でも、めちゃくちゃ楽しそうです。長野さんは社員会費委員会に選出されたことはあるんですか?

長野さん:いろいろお手伝いはしていますが、メンバーとして活動したことはないですね。

では、参加者として印象に残っている企画を教えてください。

長野さん:5〜6年前に「3人飲み」という企画があって、ランダムに組まれた3人チームで飲みに行くというものなのですが、私たちのチームは「原点回帰」をテーマに掲げて、岡山の縄文時代を体験できる島に行きました。予算はオーバーしてしまいましたが、そこは自腹でカバーして。

普段あまり接点のない人ですよね?その人たちと自腹を切ってまで遠出をするっていうのもすごいですね。

長野さん:みんな楽しいこと好きという共通項もあったので、盛り上がりましたよ。

岡山ということはお休みの日に行かれたんですか?

長野さん:はい。土曜日に行きました。私たちは3人とも意見が合ったので、遠出しましたが、みんなそれぞれ好みや事情が違うので、平日に飲みに行くとかでも全然いいんです。寿司ネタと同じ色の服を着て高級寿司を食べに行ったチームもいましたね。

でもお休みの日っていうのはすごいと思います。仕事を離れたプライベートな時間まで会社の人と関わりたくないという人も多いですよ。

長野さん:関わりたくないと思う人は少ないのではないかと思います。ロックオフのイベントはご家族連れで土曜日に集まったりもしているので。
もちろん、みんなの意見を取り入れて、全員が楽しめるようにする工夫は必要だと思います。

長野さんは新卒入社なんですよね。だからこの環境が普通なのかもしれないですね。

長野さん:社外の友人の話を聞いていると、世の中には会社の飲み会が嫌で仕方ないという意見が多いんだなというのは思います。でもうちはどうせなら楽しもうってみんなが思っているので、いい雰囲気が生まれるのかもしれません。

もともとコミュニケーションも取れていて、仲がいいからそうなるんですかね。

長野さん:どうでしょう?日本酒を飲む会とかは、日本酒でしか繋がっていません(笑)。仕事でも全く関わらないんですけど、“やりましょう”って声をかけるとみんな集まるんですよねえ。

その自由さというか、いい意味での緩さがいいのかもしれないですね。

長野さん:そうですね。強制ではないので。

では最後に今後、やってみたいイベントや飲み会のアイデアがあれば教えてください。

長野さん:具体的なアイデアはないのですが、社内のコミュニケーションをいかに活性化させるかというのは私の仕事の一つでもあるので、みんなの意見や感想をたくさん聞いて、企画に活かしていきたいですね。もちろん、私自身も楽しめるようなことができればいいなと思います。

ありがとうございました。

取材ご協力企業:株式会社イルグルム

https://www.yrglm.co.jp/

インタビュアー:
和谷 尚美(N.plus)

米国の大学を卒業後、現地の出版社に編集者として入社。帰国後、広告代理店や制作会社を経て、2012年よりフリーランスライターとして活動。
http://nplus-w.com/

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