なんでも言えるし許される。
そんな信頼関係があれば、
どんな飲み会も楽しくなる。

トラストリング株式会社

「心あるシステムで世界中の人々を幸せに」という理念のもと、主にネット通販ショップのオリジナルシステムの開発を手がけるトラストリング株式会社。今回は代表の島田大学氏が「自分が入社したい会社づくり」をすすめる中で生まれた「二日酔い休暇制度」をはじめとする数々のユニークな制度について、エンジニアの横山氏とともに話を伺った。

社員の提案はまず受け入れる。
ノーと言わない社長の本音とは。

現在、公式の飲み会はどのくらいありますか?

島田代表:顧客先に常駐しているメンバーと社内のスタッフ全員がそろう定例会を月1で開いていますが、公式といっても基本的に任意です。強制参加の飲み会はありません。

どのくらいの方が参加されていますか?

横山さん:だいたいいつも6割くらいですね。僕は飲み会が大好きなので参加率はかなり高いですが。

最近は会社の飲み会に対してネガティブな意見も多いようですが、横山さんは飲み会が好きなんですね。

横山さん:僕は2回ほど転職をしていますが、どこの会社でも飲み会は楽しかったです。

島田代表:なんでネガティブなんですかね?まったくわからないです。私は顧客先に常駐している社員とは普段一緒に仕事をしているわけではないので、話もしたいですし、みんなのことが大好きなので会いたいんですよ。基本的に、社員のことを家族だと思っているのでなんでも相談して欲しい。飲み会という場があれば話す機会ができますからね。

定例会はいつから開催されているんですか?

横山さん:4〜5年前です。僕ともう一人の社員が、外で常駐しているメンバーと情報交換する場が欲しいねって話をしていて、だったら毎月会議をしてみようって言い出したのがきっかけです。

それで社長の了承をとって始まったという経緯ですか?

横山さん:社長はだいたい「いいよ」って言ってくれるので、「参加の強制はしない」「定例会の後に飲みに行く」「社長に奢らせない」という決まりなど、ほとんど僕たちで運用方法を決めて、今に至るという感じです。

社長は社員の提案に、あえてノーを言わないようにしているのですか?

島田代表:そうですね。まずはやってみないとわからないので。あと、その方が楽なんですよ。みんなが会社の問題点を見つけてくれて、いろんな提案をしてくれて、会社がどんどん良くなっていくってすごくいいじゃないですか。

飲み過ぎた翌日は寝坊OK。
酒好きにうれしい二日酔い休暇制度

確かにそうですね。でもそれは信頼関係があるからこそなんでしょうね。「二日酔い休暇制度」というユニークな制度も社員の方の発案ですか?

横山さん:これは社長のアイデアですね。

島田代表:私は会社員時代、お客様と飲むことが多かったのですが、0時くらいまでなら翌日もなんとか頑張れるんですけど、4時くらいまで飲んじゃうと、どうにか出社しても体調はボロボロだし、眠いし、仕事なんてできたもんじゃない。それって、会社も僕も誰も得しないなって思ったんですよ。頑張って朝から出社したところで生産性が低いのなら、ゆっくり寝て、午後から来ればいいよっていう考え方です。

そういう独特の制度って、実際には使いにくいんじゃないかと思うんですけど、みなさんどうですか?

横山さん:僕も含めてみんな使ってますよ。年に2回なので、頻繁には無理ですけど。

回数を増やすことは考えていらっしゃらないんですか?

島田代表:この制度の本当の目的は、例えばですけど、滅多にお会いできない社長さんと飲む機会があったとき、明日のことを考えずにとことん飲んできてほしいということなんですよ。そんなチャンスってそうそうないですし、年2回くらいでちょうどいいのかなって。

なるほど、ここぞという時に使うカードなんですね。「二日酔い休暇制度」の他にもユニークな制度がたくさんありますよね。

横山さん:社長がすごいユニークなことを求める人なんですよ。常駐先にお菓子を配りたいというエンジニアの声に応えて、なぜかうまい棒を大量に送ったり、システムにちょっとした遊び心を加えたり。

制度に関しては、酔っ払ってメガネを紛失したら1万円プレゼントしてもらえる「メガネ保証制度」とか、遅刻したら罰としてチーム全員の良いところを言う「遅刻罰ゲーム制度」などがありますね。

島田代表:何か問題があって注意するのは簡単ですけど、そうじゃなくてみんなが楽しみながらうまい方向に行けばいいなと思っているんですよ。
基本的に制度って問題を解決することが目的なので、使われなくなったら問題が解決したということですよね。だから制度をつくると問題が解決するんです。

横山さん:ちなみに「メガネ保証制度」は、僕が1年間に4回も酔っ払ってメガネを失くしてしまい、奥さんから「もし次に失くしたら離婚だ」と言われたことでできた制度です。

島田代表:社員が離婚したら嫌ですからね。あと私は飲み会を大切にしているので、「じゃあもう飲むのをやめよう」となるのを防ぐためにいろいろ考えています。

お酒の席ではなんでも言える。
楽しい飲み会に必要なのは信頼関係

最近では飲み会の代わりにランチだったり、なんならチャットでもコミュニケーションは取れるという人もいますが、それでも社長が飲み会を大切にしているのはなぜですか?

島田代表:ランチと一緒…。一緒ですかね?!違う気がするなあ。チャットは確かにコミュニケーションツールとしては優れていますが、言語化できている事しか発信できないんですよ。会って話すとまだ言語化できていない隠れた感情を見つける事ができると思います。

横山さん:あとお酒にはやはり、伝えづらいことを言いやすくするという効果は絶対にありますよね。うちは酔った勢いで社長に言ったことは許されますから(笑)。僕の酔った上での暴言は録音されてますけど(笑)。

島田代表:聴きますか?

あるんですか?

横山さん:やめてくれー。

島田代表:音源データのタイトルが「いつでもやめたるぞ」(笑)。
そんなこというなら録音するぞって言ったら、「おお、やれや!」って言われたので、録音しました。どうせ覚えてないんでね。宝物にしています。

なかなかの酒癖ですね。

横山さん:普通の会社ならクビ飛んでますよね…。

島田代表:そういうことも含めて楽しめる人しか飲み会に来ないんですよ。飲んでいる時と飲んでいない時で人は違って当たり前。平常心で「いつでもやめたるぞ」なんて言う人、いるわけないですからね(笑)。

社長には何を言っても大丈夫という心理的安全性の高さがそういった発言につながるんでしょうね。御社ではお酒というツールがとても効果的に作用しているんですね。

島田代表:そういう素の部分が見たいので、当社の会社説明会は「会社説明飲み会」です。ありのままを見てもらって、みなさんの本心も聞かせてもらって、できるだけミスマッチが起こらないようにしているんです。

「会社説明飲み会」への参加は、申し込みの際に、唐揚げにレモンをかける派かかけない派かを先に表明しないといけないんですよね。

横山さん:それも理由があるんです。そうすることで返信してもらいやすくなりますし、それを表明したことによって参加率も上がるんですよ。

なるほど、深い!一見、ふざけているようで色々考えられているんですね。今日はとても勉強になりました。ありがとうございました。

取材ご協力企業:トラストリング株式会社

http://www.trustring.jp/

インタビュアー:
和谷 尚美(N.plus)

米国の大学を卒業後、現地の出版社に編集者として入社。帰国後、広告代理店や制作会社を経て、2012年よりフリーランスライターとして活動。
http://nplus-w.com/

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