株式会社Leretto インタビュー 株式会社Leretto インタビュー

株式会社カンリーの共同代表である秋山祐太朗さんと辰巳衛さんが、大手商社と銀行での経験を生かして立ち上げたのは、忙しいビジネスパーソンのために社内宴会の店選びを手伝う幹事代行というユニークなサービス。現在はサービスをさらに進化させ、大手企業に向けたグルメ予約サービスを展開するお二人に、事業立ち上げのきっかけとなった会社員時代の飲み会や幹事の経験についてお話を伺った。

株式会社カンリー 秋山祐太朗さん

株式会社カンリー 辰巳衛さん

ビジネスモデルの仮説検証のために
幹事代行サービスをリリース

まずは創業のきっかけを聞かせてください。

辰巳さん:秋山と私は就活中に出会って、社会人になってからはルームシェアをしていました。私は新卒で商社に、彼は銀行に入ったのですが、お互い起業を視野に入れていたので、ブレストしながら1000個くらい事業のアイデアを考えていたんですよ。

1000個ってすごいですね。

辰巳さん:あらゆるビジネスモデルを考えましたね。話しているうちに、自分たちの業界の共通点が飲み会にあるとわかったんです。商社も銀行もとにかく飲み会が多い。若手ですから飲み会の幹事を任されるのですが、例えば私の場合ですと、政府要人の接待から部長の送別会までさまざまな飲み会があって、その都度、出席者や目的に応じた店を選ばなくてはいけません。それが本当に大変で。接待相手によって指定のビールの銘柄があったり、個室が必須だとかとにかく条件が多いんです。

株式会社カンリー 秋山さんと辰巳さん株式会社カンリー 秋山さんと辰巳さん

秋山さん:私も銀行時代に幹事業務をよく任されていたのですが、やはり課題になっていたのが店選びです。ビールの銘柄などはかなり気を使うところですが、そういう情報ってなかなか整理されたものがないですよね。そこをテクノロジーで効率化できるんじゃないかと。

辰巳さん:最初はビジネスマンに特化したビジネス版「一休」のようなグルメ予約サイトをつくろうとしたのですが、開発のコストもかかるし、そもそも需要があるのかどうかもわからない。そのあたりを知りたかったので、仮説検証としてビジネスパーソン向けの幹事代行サービスをリリースしたんです。

幹事代行サービスは仮説検証のためのサービスだったんですね。

秋山さん:そうなんです。これが意外とキャッチーだったようで、想像以上にバズって毎日依頼がくるようになりました。
ビジネスモデルとしては、LINEで予約を受けて、契約している飲食店舗に繋ぎ、手数料をもらうという超シンプルなものです。飲食店には周辺企業の宴会で定期的に利用してもらいたいというニーズがありますから、結果的に店舗さんにもユーザーさんにも喜んでいただけました。

辰巳さん:基本的に私たちが狙っているのは「大人数で高単価」の飲み会。高単価だけどプライベート利用がメインだったり、女子会にフォーカスしているサイトはあるのですが、意外とそこをターゲットにしているサイトがなかったんです。実際にスタートしてみて、これはいけると確信したので、今から一気にシステムを作って全国展開をしていこうというところです。

お店を決定する上で決め手となるのは、
サイトの情報よりも先輩のアドバイス

仮説検証で浮かんできたニーズにはどんなものがあったんですか?

秋山さん:大きく分けて3つのポイントがありました。まずは詳細な検索条件。先ほどお話ししたようなビールの銘柄や、ピッチャーなのかグラスなのかといった、細かいことを含むビジネスシーンに特化したお店選びのアルゴリズムが求められているということ。
2つ目は個室です。大企業のオフィシャルな飲み会では個室が必須ですが、従来のサイトでは個室と謳っていても上の方に空間があったり、単に簾で仕切っているだけだったりすることってありますよね。そこをしっかり定義して、必要に応じて写真も掲載して、実際に行った時のギャップを防ぎます。

株式会社カンリー 秋山さんと辰巳さん株式会社カンリー 秋山さんと辰巳さん

確かに、半個室とか個室とかって、サイトによって基準が違いますもんね

秋山さん:そうなんです。そして3つ目が、会社の情報に紐づいた口コミを掲載することです。
例えば三菱商事さんが使ったお店という形でレビューやコメントを載せるんです。これは、経験上言えることなのですが、お店を決定する上で決め手となるのは、サイトの情報よりも先輩のアドバイスなんですよ。でも飲み会をたくさんやっているはずの商社であっても、そういう情報って属人化していてなかなか整理されていないんです。だから、「聞く」「ネットで調べる」「下見に行く」というプロセスを情報として集約すればすごく便利なんじゃないかと。
会社だと先輩にしか聞けませんが、私たちのサイトでは同業他社や、さらに他業界の大手が使っているような店も知ることができます。例えば商社や銀行員からすると、電通さんやフジテレビさんが使うお店を知りたいと思うんですよ。

辰巳さん:他にも口コミサイトはいろいろとありますが、ほとんど個人の口コミですよね。でも私たちのサイトでは会社単位での口コミなので、ビジネスシーンでの利用という目的に対して信頼性が非常に高いんです。

接待のお店に特化しているということですか?

辰巳さん:いえ、今の所は決起会や歓送迎会に特化していて、今後、接待などに広げて行く予定です。

大企業に根強く残る飲み会文化

下見に行かなければいけないような社内の飲み会って、今もそんなにあるものなんですか?

秋山さん:めちゃくちゃありますね。古い業界だと特に。

辰巳さん:そうですね。例えば誰かが海外に赴任することになったら、課でも部でも送迎会を開くでしょうし、送別する人がいれば入ってくる人がいるので、一人異動するごとに、4〜5回の飲み会が開かれます。

秋山さん:IT業界の人たちからはまったく理解されない世界なんですけど(笑)

株式会社カンリー 秋山さんと辰巳さん株式会社カンリー 秋山さんと辰巳さん

たしかにそうですよね。ちなみにお二人は会社員・行員時代にものすごく幹事をしていたとのことですが、飲み会自体は好きでしたか?

辰巳さん:私は好きでした。

秋山さん:飲み会自体がどうというよりは、銀行業務がしたくて入ったので、その時間があれば、勉強とか仕事がしたいなと思うことはありましたね。

辰巳さん:私は同期から合コンとかに誘われても、一切興味がなかったんですよ。でも社内の飲み会は、上司とコミュニケーションが取れて、明らかにそのあとの仕事が進めやすくなるので積極的に行ってましたね。人と話すのも好きですし、性格的なものもあるのかもしれません。

秋山さん:そうですね。私はもともと一人が好きなので。飲みに行くのも少人数派なんですよ。

若い人は飲み会に不満も多いようですが、辰巳さんは会社の飲み会に肯定的なんですね。

辰巳さん:私はどんなことでも得るものがあると思っています。飲み会のおかげで、全く違う部署の人と話せてネットワークが広がりますし、上司との距離も縮まりますよね。業務時間内だけだと自己開示するチャンスってなかなかないですけど、ビジネスって結局人とやるものですから、そういうことも絶対に必要だと思うんですよ。

プライベートな話をすることが仕事に影響するということですか?

辰巳さん:間接的にはあると思いますよ。相手の出身地や家族のことなどの情報を知ることで距離感って絶対に変わりますし。なんでも目的意識を持って参加すれば必ず得るものはあるんですよ。飲み会が好きとか嫌いとかって、結局自分次第なんじゃないかなと思いますね。

秋山さん:私も飲み会が必要ないとは思っていません。銀行員時代もそのあとに転職したベンチャー企業でも参加していましたし、やはり普段なかなか話さないテーマが出てくるのが飲み会のいいところですよね。

飲み会じゃなくてランチでいいじゃないかという意見もあるようですが。

秋山さん:ランチだとちょっと短い気がします。興味のある話題であってもなかなか深掘りしきれないんじゃないでしょうか。

“リリット予約”が日常になる世界

なるほど。では最後に今まさにスタートしたばかりのサービス「Lerreto」の今後についてお聞かせください。

秋山さん:私たちのミッションは“ビジネスパーソンにとって最も信頼できる店選びのインフラをつくる”ことです。もっとも非効率な仕事の一つである幹事業務を効率化することで、心理的なストレスや負担を軽減して、生産的な業務に集中してもらえたらすごく嬉しいです。

辰巳さん:そうですね。そして、飲食店さんにとっても有用なサービスとなって、その恩恵が私たちに返って来ればみんながハッピーになれると思うんです。二年後には飲み会や接待の時には“リリット予約しといて”というのが日常になる世界を作っていきたいですね。

ありがとうございました。

株式会社カンリー株式会社カンリー

聞き手:井澤 博(宣伝ファクトリー)/ 和谷 尚美(N.plus) 
文:和谷 尚美(N.plus)
取材日:2019年8月26日

株式会社カンリー

元商社マンの辰巳さんと元銀行員の秋山さんの共同創業で設立。「宴会幹事代行サービス」をメイン事業として展開したのち、2019年10月に、社内宴会に特化したグルメ予約サービス「Leretto(リリット)」をリリース。

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